L型ブリストルパター 開発裏話① 2021年03月30日 もう かなり前の話になりますが、L型ブリストルパターを作ることになった経緯をお話しします。ハミングバードの場合重いヘッド 柔らかいシャフトを専門としていますから御多分に漏れず パターにもその手のものを選択します。当時、もうかれこれ 10年数年前でしょうかお付き合いのあったあるメーカーより軟鉄の削り出しパターの在庫が大量に残ったことからパーツで販売しませんか と話がありました。当時はまだ 今ほど ヘッド重量が重くなかったので丁度よい重さ(410g)だったと記憶しています。数年にわたり、そのパターを軸に販売しておりましたがそれも残りわずかとなります。現在 ゴルフ用品の多くは売り切り が基本です。初版に作ったロットがさばけたらよほどでないと 再版することは多くありません。 今も昔も ですが、パーツも含めパターは平均34インチと短いにも関わらず35.5インチのウエッヂとヘッド重量はほとんど同じ重さです。(300g強)スピードで何とかできるアイアンはまだしもその素材の重さが転がりのカギ推進力のカギになる パターとしてもあまりに軽すぎます。アマチュアに限りませんが、多くのパッティングストロークを見ていると打つ距離 に対し ストローク(幅)が余りに大き過ぎるように見えます。たかだか 数m、ボールを転がすのに異様に仰々しい テークバックを見ると入らなそうですよね…。その原因になっているのが パターヘッド重量 です。市販の そのウエッヂと同じ重さのヘッド重量のパターでは そうしないと届かない のです。それに意外に思うかもしれませんが、パターヘッドが軽いとなぜか…本能的になんでしょうかアドレスからの動き出しにきっかけというか始まり がしにくいものです。パターヘッド重量はストロークのそのものの鍵にもなるのです。トーナメント中継を見ていてもパターヘッドが軽く、緊張した場面でストロークを始めるのに逡巡とうかスタートに躊躇している選手を多く見かけます。往年の名手 特にショットメーカーとして有名な人にそれは多い気がします。重いパターヘッドをストロークした後で軽いパターヘッドを使ってみるとヘッドを動かす という意味ではありませんが、ヘッドを引きにくくて仕方ありません。無理に動かそうとすると どうしてもループな軌道になってしまいます。あきらかに ヘッド重量が足りていない のです。まあ そこでオリジナルのパターヘッドを作ろうと幾つかのサンプルも見ながらデザインを始めますが、それと同時に各パターヘッドの形状による問題も浮き彫りになってきます。まず マレット型ですがマレット型は重心が深いのが特徴です。しかし その重心の深いのは利点でもあり大きな欠点にも成り得るのです。まず 一つ目の問題は人間の思い込み的な部分とヘッド重量がずれた位置にあるのでテークバックで外に上がりやすくなってしまいます。重さがあれば まあ 多少解消するのですが市販のマレットは見た目と異なりものすご~~~~~~~~~~~~~~く軽いのであれでは ループなストロークは解消しません。それに 重心が深いことによってヘッドが前に出やすく本来 グリップが動くからヘッドが動くというのがパッティングも含め、ショットの基本ですがヘッドを振り子で動かしやすいそういうストロークを身に着けやすい という欠点も表裏一体で内包しています。 ➡ということでボツ次は ピンタイプですが廃版になってしまうパターがピンタイプだったこともあり、あまり何もかんがえずピンで進めていましたがある時点で行き詰まりを感じてしまいます。ピンタイプは形状的にマレットよりもいっそう重心が低いところソールに重量が集中しています。ネック周りに重量が少ないんですね。マレットの方が低重心に見えますが、ヘッド重量を増やした時、高さをとっても違和感が少ないので、重心は高く設定できるのです。ところが ピンタイプだとそうはいきません。また ピンタイプの場合ほぼ機械工作でしか試作品を作れないのと直線構成のため 微妙なニュアンスがなかなか作り出せないもどかしさがありました。ある時 もともと重い弊社のアイアンヘッドにシャフトテスト用に 80gさらに増量したもので何気なく パッティングしてみるとこれが 素晴らしい。何より アイアンヘッドのその形状はヘッドを移動させる方向を示唆、指示する要素が強く ともかくヘッドが移動させるイメージが出やすいよし これだ!と思い、アイアンの0番を作ろう という発想に至りました。そこからが苦労の連続…。始めは ジョージローのスポーツマンをベースにしようと思っていたのですが何分 サンプルがない…。人生の中で一度だけ見た だけです。そこで手持ちにある ウィルソンやマクレガーなどを参考に作り始めますが、どうも このL字パターのグースネックが好きになれないというかストロークの始まり がしにくいイメージというかヘッドを回転させるイメージが付きまとう。まず そこをなんとかしたい…。とはいえ 視覚的につかまりが悪くない ものにしたいということを考え、同時に重心を高くしたい のを両立させるためネックを太く、長くしてみました。常識的にアイアン系のネックは 直径15mm前後です。ヘッドのベース重量を 450gとすると直径を3mm増やすと その部分で20g近く増量できかつ 重心も1.5mm位高く出来ました。しかし 今度はそのネックの太さから強度が増してしまい後々のロフトライ調整が非常に難しくなってしまいました。そこで 素材を 軟鉄鍛造のS25CからS15Cに落とします。これによって ロフトライ調整も可能になりました。 カテゴリなしの他の記事 < 前の記事次の記事 > コメント コメントフォーム 名前 コメント 記事の評価 リセット リセット 顔 星 情報を記憶 コメントを投稿する
コメント